イギリスとアメリカとイタリア。シルエット別着こなし解説

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ブルックススタイリング

現役スーツ販売員鶴田です。

今日はスーツのシルエットの話。

 

ブランドによってさまざまなスーツのシルエットも実は大きく分けて3つにわけることが出来ます。

 

スーツはイギリスで生まれ、イタリア、アメリカで発展して今に至ります。世にあるブランドのほとんどがこの3カ国にどれかに影響を受けてスーツのシルエットを作っています。

 

...というのは他のスーツの着こなし指南サイトなどでも解説されている話。SuitLaboではさらに踏み込んで、どのシルエットならどんな着こなしがオシャレなのか?オーダースーツならどんな生地をどんな形で作るとオシャレなのか?そこまで言及していきます。スーツを買う人だけでなく、売る側にも知っていると勉強になる...今日はそんなお話です。

 

スーツの生まれ故郷イギリス

いわゆるブリティッシュシルエットですね。階級社会の国、英国で英国階級が支配階級に向けて自信の権力を外見で表現するために生まれた服がスーツ。スーツを着る事で「リッチでマッチョでスマート(頭の良いの意)」な男性像を表現したのです。

 

そのあたりは詳しくはこちらの記事を。スーツの本質からメンズファッションの大原則まで5分で読めてしまいます。→初めてこのブログに来た方へ。オシャレの必須3要素とは?

 

ディティールで言うと

  • 厚めの肩パッド
  • ボリュームがある胸の作り
  • シェイプされたウエストライン
  • ウエストからジャケットの裾にかけて広がったライン

が特徴。

ブリティッシュモデル

photo by http://t-katsura.sakura.ne.jp/sblo_files/t-katsurablog/image/08.8.8-1.jpg

英国調がスーツの基本。試し手持ちのスーツを確認してみてください。英国調のディティールに当てはまっている物が多いはず。特に肩のライン。

 

販売員でもよく間違って覚えている人も多いですが、細く見せる為にウェストを絞っているのではありません。ウエストを絞ることでボリュームのある胸とコントラストが出来、胸板を厚く見せるのがその目的。...なぜか?

 

それは胸板を厚く見せることで「権力=肉体的な力」を見る人に感じさせるため。英国スーツは貴族が自身の権力を外見で表現するために生まれたスーツだからです。

 

裾が広がっているのでウエストのシェイプを強調し、強調されたウエストのシェイプが胸のボリュームを強調し胸板の厚さを連想するシルエットを作り出してくれます。

 

その為、英国調のスーツは肉体的な力強さの表現に優れていますなので、ビジネスにおいて「信頼感」「頼りがい」「誠実さ」などをアピールしたい人に英国調のスーツはおすすめ。

 

シルエットだけではなくスーツ生地にもお国柄が現れます。

 

イギリスのスーツ生地は耐久性を重視する傾向にあります。もともと、雨や霧が多い国なので水に弱いウール生地とは相性が悪い。ウールって湿っているときが1番耐久性が低いですからね。しかも服を親から子供に受け継ぐ文化もあるのが、耐久性を重視する理由。

 

丈夫な太めの糸を使って、生地を織るので質感は張りがあり、光沢は抑え目。最近では高級生地=イタリア生地が多いので既製品では英国調シルエットに英国生地の組み合わせはあまりないかも。

 

オーダースーツの場合は、張りのある生地で英国調のスーツを仕立てると見栄えが良いですね。ハリのある生地と胸をボリューミーに立体的に仕立てる英国調のシルエットは相性が良い。

 

威厳を感じさせるのが英国調のスーツをオシャレに見せるコツ。襟の形もセミワイドで大きめにすると威厳が出ます。となるとネクタイの結び目(ノット)も大きめに作ると良いでしょう。胸周りにディティールの大きなものを集約して胸のボリュームを生かすイメージですね。

セミワイドボリューム

photo by http://hilton-place.ocnk.net/data/hilton-place/product/20140311_2ed91c.jpg

 

モテ思考の国、イタリア

次はイタリア。多くの英国貴族はイタリアに別荘を持っていました。そのため英国貴族のスーツを作っていたのはイタリアの職人たち。この英国スーツを仕立ていた職人の技術を生かし独自に進化したのがイタリアのスーツ。

 

英国のスーツを作っていただけあって本質は一緒。「リッチでマッチョでスマート」な男性像を表現しています。

 

ただ英国スーツと違うのは、その男性像を表現したい対象

 

英国スーツが社会に向けて「リッチでマッチョでスマート」な男性像を表現したのに対し、イタリアは女性に向けて「リッチでマッチョでスマート」な男性像を表現しました。

 

さすが、イタリア(笑)根っからの女性好きなわけです。

 

そのため英国スーツと本質は一緒でもシルエットでの表現は異なります。

 

イタリアスーツの特徴は

  • パッドのない丸みのある肩の作り
  • 絞りのあるウエスト。絞り位置は英国調よりも低め
  • やや長めの着丈
    イタリアンスーツ

    photo by https://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-49-9b/subara_p_nosuke/folder/1573101/44/65009244/img_0_m?1430739435

     

「英国調とどこが違うんだよ」と思った方は肩のラインを英国調のモノと比べてみてください。違いが判るはず。

 

イタリアのスーツが求めるのは男のセクシーさ。セクシーと聞くと曲線をイメージしませんか?曲線美なんて言葉があるように人間は曲線にセクシーさを感じるのです。女性のボディーラインなんか代表的な例。

 

女性と違いバストのない男性にとって、最大の曲線はヒップ。このヒップを強調するために長めの着丈をお尻に添わせる。ヒップのボリュームを強調するために低い位置にウエストの絞りを持ってきてコントラストを付ける。

 

男性の筋肉の曲線を表現するために肩のラインも丸く曲線的な作りこみをしているのが特徴。女性に男の体の美しさを表現したのがイタリアのスーツ。

 

例えるなら英国調が石原軍団なら、イタリアはジャニーズ。

 

ビジネスにおいてはその曲線的なシルエットから、「人当たりの良さ」「やさしさ」「華やかさ」などがアピールできるのが特徴

 

オーダーでの生地選びも、イタリアンシルエットの曲線とセクシーさを生かすのがコツ。

 

曲線を生かす為に柔らかい生地を選ぶのが○。生地にスーパー○○sという表記がありますが、目安としては100~120くらいまで。ちなみにスーパー○○sというのは繊維の細さを表す数値。○○のところに数字が入り、数字が大きければ大きいほど繊維が細くなります。間違って糸の細さだと思っている販売員もいますが、表しているのは繊維の細さ。

 

まあ実際に糸を作る場合は、その糸の太さに適合する繊維の構成本数っていうのがあるわけです。糸の太さが決まれば繊維の構成本数が決まる。そうなると自然に繊維の細さも決まる...となると細い繊維からは細い糸を作ること。なのでスーパー○○s表記=糸の太さって覚えてもあながち間違えじゃないんですけど

 

...話が逸れました苦笑

 

でも買う側だけでなく、売る側にもファッションの論理を解説するのがSuitLaboのコンセプトの一つ。時々の脱線も許してください(笑)

 

で、曲線を生かす為に柔らかい生地を選ぶ。その目安はスーパー100~120くらい。あんまり数値が大きいと耐久性が下がって使いにくいですからね。さらに艶の強い生地を選ぶことによってイタリアシルエットのセクシーさを引き出すことが出来ます。

 

イタリアのスーツから感じるのはラテン系の陽気な気質。合わせるシャツも襟の開きが広いホリゾンタルカラーを選ぶとよりイタリアスーツの持つ雰囲気を引き出せます。ネクタイのノットがセミウィンザーにするとおさまりが良いですね。

phot by http://blog.y-aoyama.jp/data/original/0/90/ffa2e85a1ee5559979e1ea0ff01b3e7ac1167c43.jpg?1420556103

 

合理的な国、アメリカ

ヨーロッパに人々に比べ、体格に恵まれていたアメリカ人は「マッチョ」な表現をスーツに求めませんでした。元が良いから何を着ても様になる的な...なんとも羨ましい。

 

その代わり何を重視したかというと合理性。ディティールでいうと「ダーツ」の省略。「ダーツ」とはスーツの身頃に入っている切れ込みの事。

ダーツ

photo by http://emone.archiraise.jp/suitlab/wp-content/uploads/2016/02/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%84.png

ダーツを入れることにより、体へのフィット感が強くなる半面シルエットが立体的になるのが特徴。もともと肉体的に優れているアメリカ人はスーツに立体感ではなく、ダーツをなくすフィット感を弱め着心地の楽さを求めたのです。しかもダーツを省略することで生産工程も簡略化し、大量生産を可能にし価格を安くできるという合理性もあります

 

ダーツを省いた為、I型と呼ばれる寸胴シルエットがアメリカンスーツの特徴。

I型

photo by http://cobbler.txt-nifty.com/blog/images/2011/03/24/00.jpg

その理念同様、ビジネスにおいて「動きやすさ」「着やすさ」など外見よりも機能性を重視する人におすすめ。

 

「じゃあ、アメリカンなスーツはオシャレじゃないの?」と思ってた方。実はその逆

 

ファッション性においてもアメリカン=アメリカントラッドは非常に合理化されています。多少の現代的なアレンジこそ必要ですがオシャレ初心者にはアメリカントラッドはおすすめ。

 

なぜか?

 

合理的な理念に沿ってアメリカントラッドは個人のセンスが入る余地がないくらい徹底的にファッションをテンプレート化しているので真似がしやすいから。紺のブレザーにボタンダウンのシャツにレジメンタルのネクタイ。ボトムスは白やグレーのスラックスにローファーという今では当たり前の着こなしもアメリカントラッドのテンプレート一つ。

アメトラ

photo by https://img1.kakaku.k-img.com/images/tasclapicv/450/000/000/0/773/tasclapimage_773_39_1.jpg?d=20170202191521

 

現代的にアメリカントラッドをアレンジし、大きな支持を得ているのがトムブラウン。

トムブラウン

photo by https://cdn.fashionsnap.com/inside/images/thom-brown-aoayama-130314_012.jpg

グレースーツにボタンダウンシャツ、ウイングチップのシューズとアメリカントラッドの代表的なアイテムを使い、シルエットを現代的にアレンジ。パンツ丈こそ、そのまま真似することは難しいですが、アメトラの現代的な解釈の仕方は良い見本。

 

アイテム自体は踏襲しつつもシルエットは細身にするのがアメリカントラッドの現代風解釈です。

 

しかもデザイナーのトムブランはいつもこの格好。まさにテンプレート。ユニフォーム的な感覚でコーディネートに迷わないのがアメトラの良いところ。

 

オーダーでアメトラ風スーツを作るならディティールをテンプレートになぞるのが雰囲気を出すコツ。そのテンプレートは段返りの3つボタン。段返りとは1番上のボタンが襟の内側にあり、真ん中のボタンだけでボタンを止める仕様の事。

段返り3つボタン

photo by http://mensfashion-brand.com/wp-content/uploads/2016/07/r1340008.jpg

下の画像をよく見ると、襟にボタンホールがあるのに気づくはず。この見え方が典型的なアメトラ。

I型

photo by http://cobbler.txt-nifty.com/blog/images/2011/03/24/00.jpg

となるとコーディネートもテンプレートを生かすのが良いというモノ。ボタンダウンのシャツにレジメンタルのタイが代表的なテンプレートです。

ブルックススタイリング

photo by http://mensfashion-brand.com/wp-content/uploads/2016/07/r1340008.jpg

現代的なアレンジがないと「学校の制服?」と言われるので注意。

 

シルエットを細くしたり、チーフやネクタイピンで装飾をしたり...。レジメンタルのネクタイの選び方をこちらの記事で紹介しています。定番のレジメンタルのネクタイの中でもオシャレな物を選び抜く審美眼が養える内容になっています。→ルーツが大事!。オシャレなストライプネクタイの選び方

 

今日はここまで。コーディネートや買い物の無料メール相談も受け付けています。こんな内容をブログで取り上げてほしい...なんて言うリクエストも受け付けていますのでお気軽にご相談ください。

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