
現役販売員の鶴田です。
誰しも似合う服と似合わない服はあるもの。
「ファッションはやっぱり顔とスタイルか...」なんて心配は必要なし。似合わないのは顔やルックスのせいではありません。かわいい小型犬にはリボンの首輪が似合う。獰猛な大型犬にはごつい首輪が似合う。これはすべての人が共通認識できる感覚。
人間も同様に誰しも生まれながらにして似合う服というのものが必ず存在します。あなたはまだ自分の「似合う法則」を見つけていないだけ。そんな「似合う」のヒントは手触りにある...今回はそんな話です。
生地が似合えば勝ったも同然
現在のスーツの原型が出来て約200年。その200年間、スーツのディティールはほとんど変わっていません。
ディティールにどれも同じである以上、「似合う」を左右するのは素材。ディティールがどのスーツも同じだからこそ、素材さえあなたに似合っていればスーツそのものが似合っているも同然なのです。
「スーツの生地なんてどれも一緒じゃないか」と感じる人もいると思いますが...。スーツのディティールと比べると選択肢が広いのも事実。試しにオーダースーツ屋さんを覗いてみてください。
その生地のバリエーションの豊富さに驚くはずです。既製品を扱うスーツ量販店もしかり。お店を埋め尽くすかのようにずら~っとスーツが並んでいるわけです。
その豊富な生地の中から、自分に似合う生地を見つけるという気の遠くなるような作業。似合う生地を見つけるためのヒントが手触りにあります...というのが今回の趣旨。
ここからは骨格診断をベースにした理論。骨格診断とは、人間の体型を3タイプに分けて、タイプごとに似合うポイント導き出す理論。骨格タイプの解説と簡単な自己診断が出来る記事がありますのでまずはこちらを。→体型別似合うトレンド素材を使ったスラックスを解説
自己診断はいかがでしたでしょうか?ストレート、ウェーブ、ナチュラルの順から解説していきましょう。
ストレートタイプが似合うスーツ生地
人間の体を構成するのは、筋肉、脂肪、骨の3要素。ストレートタイプは筋肉の要素を強く感じるこのタイプ。
筋肉の張りは前後だけではなく左右に及びます。この左右への筋肉の広がりがポイント。左右のハリを押さえることがストレートタイプをスタイルアップさせるコツ。左右の広がりを押さえることで、横幅がすっきりしつつストレートタイプ特有の胸の厚みで男らしさを獲得できます。
筋肉の張りを押さえるべく、ハリのある手触りの素材を選ぶのが似合う生地選びのポイント。
というと「どの生地がハリがあるんかわからん」という質問もあるでしょう。
そこで基準にしたいのがスーツ生地の「スーパー表記」。スーツに「super○○’s」と表記されているタグを男性だったら一度は見たことがあるはず。

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「スーパー表記」はスーツ生地の原料である羊毛そのものの繊維の太さ。この繊維を捩りながら束ねたのが糸。この糸を織ることでスーツ生地が出来るわけです。なかには「スーパー表記」=糸の太さと覚えている販売員もいますが正確には繊維の太さ。
基本的には太い繊維からは太い糸を。細い繊維からは細い糸を作ります。糸は太ければ太いほどハリがある。極太の糸は綱になる。運動会の綱引きのロープを想像すればわかるはず。
「スーパー表記」は数字が大きくなればなるほど繊維が細いことを示します。ストレートタイプは比較的数値の低い「スーパー表記」の物を選び筋肉のハリを押さえるのが「似合う」生地選びのコツ。
スーパー表記は大体super100sから表記タグが付くことが多い。細い糸を作るには丈夫で上質な羊毛が必要。高いスーパー表記=高級原料を使ってます...という一つのアピール。低いスーパー表記をわざわざタグに記載しないのはこのため。
ストレートタイプはスーパー表記されている範囲で最小値であるスーパー100くらいの物を選ぶのがベター。
何もスーパー100でなきゃ似合わない...とい話ではありません。筋肉の張りを押さえてくれる、生地の固さの目安がスーパー100であるという事。
スーパー100表記のスーツを買うのではなく、スーパー100の生地の固さ覚えて「これくらいの固さが自分には似合うのか」と手に覚えさせることがのほうが大事。
スーパー100のスーツ生地は比較的どこのスーツ量販でも取り扱っています。まずは触って感触を確かめてみてください。体型からリッチさを感じるストレート体型。リッチな雰囲気と調和させる為、理想は高級感をウール100%の生地。ただし、安っぽくなければポリエステルが入っていても可です。
ちなみにポリエステル混の生地はシャカシャカとした点の光沢は安っぽく見え、しっとりとした面の光沢は高級感を感じさせます。
ウェーブタイプが似合うスーツ生地
ウェーブタイプは脂肪の要素を強く感じある体型。脂肪=太っているではなく、女性に近い柔らかなボディーラインと認識ください。
柔らかなボディーラインから感じるのは、ソフトさや軽快さ。ストレートタイプが似合うハリのある素材と真逆の生地がウェーブタイプに似合う生地。
ウェーブタイプに似合うのは体型が持っているソフトさに調和する柔らかい生地です。
ここでもスーパー表記を目安にするとスーパー120が目安。細ければ細いほどウールはデリケート。通勤電車に乗って長時間デスクワークをして...というワークスタイルを考えるといくら柔らかい生地が似合うからと言って柔らかすぎは実用面からいって扱いづらい。
実用性を保ちつつ、似合う柔らかさ...となるとスーパー120がリアルなのです。
...とはいえ、前述のとおり細い繊維から出来たスーツ生地は高いのです。「スーパー120のスーツなんて予算オーダーだ...」なんていう方もいるでしょう。
そんな人は予算の範囲内でなるべくイタリアの生地メーカーの生地を選ぶこと。
スーツの生地の主な原産国はイギリスとイタリアと日本、あとまれにフランス。国によって生地の風合いにも特徴があるのです。日本とイギリスの生地の特徴はハリ。伝統や規律を重んじるお国柄である両国から生まれるのは、重厚感を感じるハリのある生地。
それに対し、人生を謳歌しようというラテン気質な国イタリアから生まれるのはソフトで柔らかな生地。生地からもお国柄が表現されるわけです。
同じスーパー表記でも日本やイギリスは生地を高密に織ってハリを。密度を甘くしてソフトに仕上げるのがイタリアの生地なのです。よって同じ繊維の太さでもイタリア生地のほうがソフトなことが多く、限られた予算でも柔らかい生地のスーツを選ぶことが出来るのです。
ちなみに有名なイタリア生地メーカーは「ゼニア」、「カノニコ」、「ロロピアーナ」、「ピアチェンツア」など。
もちろん、絶対にスーパー120やイタリアの生地でないとウェーブには似合わない...という話では無し。あくまで柔らかさの分かりやすい指標がスーパー120やイタリア生地という事。
とにかく、まずは生地を触ってみる。お店に行って「下見なのでじっくり見させてください」と言えばいくらで触らせてくれるものです。自分に似合う生地の質感を手で触って実感してみる。
後は高級ブランドで買うも良し。量販店で似た手触りの生地を探すも良し。意外とファストファッションにも柔らかいソフトな生地の良品はあるものです。
ナチュラルタイプに似合うスーツ生地
ナチュラルタイプは骨の質感を強く感じるタイプ。
骨のゴツゴツ感から導き出されるのは、荒々しさや武骨さ。ナチュラルタイプに似合う生地のポイントは荒々しさや武骨さを感じる素材。
手で生地の表面を撫でるように触ってみてください。凹凸を感じたり、チクチクした質感の生地がナチュラルタイプの似合うスーツ生地です。
例えば秋冬ならツイードやコーデュロイ。

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春夏だったら、リネンやコットン素材。

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ゴワゴワ、ガサガサ、凸凹...そんな表現が似合う生地がナチュラルタイプに似合うスーツ生地。
「こんなの職場じゃ着れませんわ...」というのももっとも。
こういった生地はジャケパンスタイルやカジュアルフライデーに使うのが一般的な職場では妥当でしょう。ビジネスシーンに対応しつつ、ナチュラルタイプが持つ武骨さ、荒々しさに調和する素材。
それは織り柄。
これはヘリンボーン柄。日本語に訳すと、「ニシンの骨」。骨の武骨さを表現するかのように、凹凸感があるのがヘリンボーン柄の特徴。

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素材をウール。色を黒や紺、グレーといった色を選べば一般的なビジネスシーンでもナチュラルタイプの武骨さや荒々しさと調和させることが出来ます。
これまた、ヘリンボーンでなければいけない...というわけではナシ。ヘリンボーンを代表されるような凹凸感がナチュラルタイプには必要という事。逆に凹凸感がなければ、たとえヘリンボーン柄でもナチュラルタイプには調和しない。
目をつぶって、手に感覚を集中させて生地の凹凸感をチェックしてみてください。
今回はここまで。
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