現役ショップスタッフの鶴田です。
前回のコートのトレンド解説に続いて、今度はスーツのトレンド解説です。
興味がある方はコートのトレンド解説の記事はこちらからどうぞ。
スーツは男性の衣料品の中で最も高価な部類に入るアイテムです。
そのせいかトレンドの移り変わりは非常にゆっくり。
ゆっくり故に「去年流行ったやつが今年になって急にダサく見える」という心配は皆無。
とはいえ、トレンドを無視し続けていると、いつも間にか自分のスーツだけ周りと悪い意味でなんか違う...という印象になってしまいがち。
逆に今からトレンドを取り込んでおけば、「あの人のスーツだけなんだかオシャレ」という印象を獲得できるものです。
2019年秋冬はダブルブレスト&裾幅太めのセットアップがトレンド
当サイトで何度も解説していますが、トレンドは振り子のようなものです。
片側に振り切れば、反動に反対側に振り出し始める。
Aが流行って、世間に浸透しきれば、全く真逆のBがオシャレに敏感な一部の人に支持され始める。そしてBがジワジワと世間に浸透し始める。
浸透しきると、真逆のAがまた…という振り子運動がトレンドの移り変わり。
となれば、今世間に浸透しているスーツを理解できれば、その真逆の物にトレンドのヒントが詰まっているということ。
今世間に浸透しているスーツ…となると。

今な感じですよね。
細い横幅に、短い丈。肩パッド薄め、もしくはノーパッドのシングルジャケットに丈短めのスラックス。というのが世間に浸透しきったオシャレスーツ。
もはや「洋服の○○」みたいなスーツ量販店で当たり前のように手に入るのが今です。
これを踏まえつつ、2019年秋冬のコレクションを見てみると...。
あくまでファッションショーということもあり、誇張されたシルエットですが...。
特徴として
- 少しゆったり目なサイジング
- しっかりとした肩パッド
- 長めの着丈
- ダブル前のジャケット
- 裾幅太めのパンツ
と世間に浸透しきった「オシャレスーツ」の真逆のシルエットなのが理解できるはず。
「理屈はわかるけど...。」
「トレンドと言われても、これは仕事では着られないよ」
上述したようにトレンドは振り子。徐々に反対側に揺り動くもの。両端を瞬間移動することはありません。
瞬間移動してしまうと、一部の洋服好きには理解してもらえても一般的なファッション感度の人。とりわけ職場における理解はなかなか得られないものです。
コレクションではときおり上記のような「瞬間移動的な着こなし提案」がされますが...。
それを取り入れる我々は、一般的なファッション感度の人にも理解、つまり「オシャレだね」と評価してもらえるように最適化をしなければいけません。
最適化の1例を上げると、こんな感じ。

平均的なファッション感度の人にも理解してもらえるようにサイズ感は細身のままま、ジャケットはシングル前。
- ジャケットの着丈を長め(お尻が隠れるくらいを目安)
- しっかりとした肩パッド
- 少し広めの裾幅(裾幅20センチ以上が”裾幅広め”の目安)
といった具合にコレクションで提案されていたシルエットを取り入れています。
これ位なら、最新トレンドを取り入れても職場で浮くことはないでしょう。
「せっかくだから、もうちょっとトレンドを取り入れたい」
そんな人はシルエットだけでなく、「ディティール」にもトレンドを取り入れるといいでしょう。
「ノームコア」と呼ばれる、シンプルイズベストな着こなしがもてはやされたトレンドの反動が起きているが今。
シンプルは素敵だけど、ちょっと寂しく見える。少し装飾的な服の方がオシャレに見える。そんな時代なのです。
スーツのディティールにもトレンドを取り入れて、装飾性を加えることは現代のファッションの流れと合致するのです。
具体的に言うと、「ダブルブレスト」。
シルエットは、ほぼ上述のスーツと一緒ですがジャケットのフロントがダブルになるだけでかなり装飾的な印象になることが理解できるはず。

加えてパリコレで提案されていたスーツのシルエットは、パンツのシルエットがややワイド。
パンツに「タック」と呼ばれるヒダを加えると、シルエットがノータックと比べるとやや太くなるだけでなく、タックがスラックスの腰回りに装飾を加えてくれます。

画像はタックが2つ入った「2タック」。タックの数が増えるほど、パンツは太くなりますが、あまりパンツが太すぎると周りの理解を得られにくいので1タック程度がベストですね。
オーダーならトレンドスーツを仕事で着られる&手頃プライスでゲット
フロントがダブルのスーツ。パンツがワンタックのスーツ。
「洋服の○○」などスーツ量販店で売られているおじさんスーツならまだしも、トレンドとしてのオシャレスーツとして取り扱っているショップはごくごく一部。
扱っていたとしても、10万越えのプライスだったり、到底仕事では着られなそうな生地だったり…オシャレなのは間違いないんですけどね(^-^;

一般的なドレスコートの職場で着られるトレンドスーツというのは、なかなか手に入りにくいものです。
そこでオーダーです。
パターンオーダーなら、好きな生地でダブルフロントだろうが1タックだろうが思いのまま。
しかも格安でパターンオーダーを扱うブランドも増えたこともあり、価格も現実的。5万以上10万以下くらいで作れちゃう。
パターンオーダーって「体型にピッタリ」とか「裏地やボタンをカスタマイズできる」というメリットをうたうことも多いですが、こういう「好きなデザインが好きな生地で(現実的な価格で)既製品にないから使う」というのも大きなメリットなんですよね。
パターンオーダーで作る際は
- 肩パッドしっかり目
- 長め(お尻が隠れる着丈)
- ダブルフロント
- 広めの裾幅(20センチ以上が目安)
- 1タック
3と5は好みや職場のドレスコートに合わせるとして、他3つを押さえるとトレンド感を演出でき、周りに人と差別化が出来ますよ。
ぜひご参考に。
今回はここまで。
最後まで読んでくださりありがとうございます。