販売員も知らない?「モード」の本当の意味を解説

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黒の衝撃

現役スーツ販売員の鶴田です。

このブログは読むようになってから、「スーツの接客が出来るようになった」、「個人売上が上がった」なんていううれしい声をいただいています。

 

今回は業界関係者にも読んでいただきたい。一消費者の方も読んでいただければ、ホンモノを厳選できる審美眼を養うことが出来るでしょう。

 

よく聞く「モード」という言葉。「モード系」なんていう言葉もありますよね?このブログを読んでいる販売員の方。1分シンキングタイムを差し上げるので「モード」という言葉を説明してみてください。

 

 

どうですか?感覚的には理解できても、説明しようとなると意外とできないはず。そんな知っているようで知らない「モード」について解説します。あなたの審美眼が高まること確実な内容ですよ。

 

モードとモード系は違う

モードと聞くと全身黒づくめのファッションを連想する方も多いでしょう。

モード系

photo by http://mo-dofasyon.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_141/mo-dofasyon/2011-09-09_132330.png

実はコレ。モードではなくてモード系のファッション。

 

「何が違うんじゃ(;´Д`)0」という方もいるでしょう。

 

モード系とはいうなればファッションのテンプレートの一種。アメカジとかアイビーとかと同じ。小難しく言うと固定的概念なわけです。モードとは本来「最新・先端」の意。ある特定のファッションで「モード」が固定化されることはありません。

 

今のモードはアレッサンドロ・ミケーレ率いるグッチの過剰とまで言える装飾性が高いファッション。

アレッサンドロミケーレ

photo by https://www.difa.me/wp-content/uploads/2017/03/af07acf39e82bca65db97d5152edf263.jpg

 

理解できんわ...という方も安心ください。理解できなくていいんです。こんなスタイルが最先端なんだな~ってファッションの方向性を理解するだけで十分なんです。理由は最後まで読んでいただければ理解できるはず。オシャレの奥深さに虜になることでしょう。

 

ちなみにモード系の源流になっているのが、「ヨウジヤマモト」と「コムデギャルソン」の二つの日本ブランド。この2ブランドが80年代に全身黒のファッションでパリコレに「黒の衝撃」と言われるセンセーションを巻き起こしたのがモード系の源流。

黒の衝撃

photo by http://www.asahicom.jp/fashion/topics/images/TKY201112140403.jpg

 

当時、西洋では黒は喪服の色であり、ファッションとしてはタブーの色。それを抜群のクリエイティビティで表現した両ブランドには賛否両論の意見が押し寄せたとか。今でこそ当たり前ですが、この「黒の衝撃」を境に黒はファッションとして認知されるようになりました。

 

コレクションの発表から30年以上。いまだに全身黒のファッションをモード系と表現することからも当時の衝撃の大きさは想像できるはず。しかもこの歴史を作り上げたのが日本のブランドなんて。海外ブランドがもてはやされがちですが、日本人はもっと日本のブランドに誇りを持ってい良いのでは?

 

モードの陰に伝統あり

じゃあなんでも革新的ならば「モード」なのかというと否。

 

実はモードはクラシックを土台に成り立っているのです。モードとクラシックは対立関係で語られがち。とりわけスーツという歴史の長いカテゴリーではなおの事。クラシック派はモードを、モードはクラシックを批判しがち。正直、僕はこの手の論争は苦手。

 

洋服には必ず元ネタというものがあります。クリスチャンディオールのデザイナーを務めたジョンガリアーノが「ファッションとは引用と編集である」といったのが象徴的。元ネタという引用元があり、それを時代に合わせて編集したのが現代ファッション。

 

我々の身の回りにある洋服すべてに元ネタがあります。元ネタが魅力的だったからこそ現代になっても派生品が生まれるわけです。この魅力的元ネタこそクラシック。ところが元ネタがなぜ魅力的だったのか本質を理解しない派生品がはびこっているのがアパレル業界苦戦と言われる原因の一つ。

 

安くて早くてうまいのが牛丼の魅力なのに、高級志向の予約制牛丼店なんて作っても流行らないでしょ?本質を見抜き間違えてるのにもほどがあるわけです。こんなモノ作りが実はアパレル業界では横行しているのです。売れないのは当然ですよね。

 

クラシックというオリジナルの魅力を正しく解釈し、時代の気分や自身の創造性を加えて新しい価値を生み出すのが本当のモード。いわば進化するクラシックこそモードなのです。

 

例えば前述のコムデギャルソンを例にすると。コムデギャルソンの代表的なデザインの一つであるパッチワーク。

パッチワーク

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コレの源流は70年代パンクにあります。パンクミュージックに魅了されたのは当時のイギリス労働者階級の若者。いわゆるその日暮らしの肉体労働者ですね。何しろお金がありませんでしたから、古着屋で適当に服を見つけて自分で切ったり、貼ったり(リメイク)して社会への反抗心をファッションで表現しました。

 

とはいえそこは英国紳士の国イギリス。安い古着とはいえ、英国紳士がフルオーダーで仕立てた年代物がゴロゴロ古着屋に転がっているワケです。でたらめな素人のリメイクでもベースとなるシャツの仕立ての良さでファッションに昇華されているのはそのため。

 

ギャルソンのパッチワークシャツもこの源流をしっかり解釈したうえで作られています。一見なのも脈絡もない場所にたたきつけるようにパッチワークがつけられているのは70年代のパンクキッズが自分の手でリメイクしたやり方そのもの。

 

それでいてギャルソンのシャツの縫製やパターンメイキングはクラシックのそれ。スーツやドレスシャツ作りの技術が絶妙に応用されているのです。

 

源流の魅力をしっかり解釈した上で、モノ作りをしているからこそギャルソンのシャツは4万円しても売れるのです。これを「パッチワークのデザインオシャレかも♪」と表層だけをとらえてコピーすると一気に子供っぽくなる。

パッチワークシャツ

photo by https://image.rakuten.co.jp/urbene/cabinet/slick/slick-5169204_1.jpg

この手のシャツはパッチワークの付け方が妙に綺麗だったり、シャツそのもののシルエットが悪かったり...源流である70年代パンクのパッチワークシャツとは正反対。

 

上の二つの画像を見比べるとその差は歴然。ギャルソンのシャツのほうが「雑」なのが分かるはず。雑でありながら、裏側は丁寧な縫製で実に綺麗に出来ているのです。源流をしっかり咀嚼してモノ作りをしているのが手に取るようにわかります。

 

...と、具体例はこれくらいにして。

 

少し難解ですが、モードとはクラシックの魅力をしっかりと咀嚼したブランド・デザイナーからしか生まれないのがご理解いただけたはず。クラシックに敬意のない革新はでたらめ。「クラシックこそ最高」とばかりに伝統に胡坐をかき新しい物を生み出さないのはただの懐古主義。

 

どんなクラシックも当時はモードであったのだから、洋服業界にいる人間は常にモードを追い求めないといけないと思うのは僕だけでしょうか?

 

モードは定番化=クラシックになりえるのか

では時間がたてば「モード」も定番化して「クラシック」になることが出来るのでしょうか?

 

答えはケースバイケース...なんて言うとあいまいですね(笑)でもこれは事実。

 

モードに待ち構えているのは「時間」というテスト。どんなに提案当初に衝撃を与えても時間というテストに合格できんければその「モード」はあっという間に廃れてしまいます。いわゆる「当時の流行」的な位置づけになってしまうわけです

 

ギャルソンやヨウジヤマモトが提案した黒づくめスタイルは時間というテストに合格した結果、30年以上の時を経ても古くならないのです。

 

最近、時間というテストに合格したと言いても良いのがスキニーパンツやクロップドパンツ。

スキニーパンツ

photo by http://watch-monster.com/system/item_images/images/000/102/427/medium/53fd9bd3-dd2d-48c4-b7b9-cd41e2fb2539.jpg?1484966141

トムブラウン

photo by http://mensfashion-brand.com/wp-content/uploads/2016/07/thom-browne-2013-fall-winter-lookbook-17.jpg

スキニーパンツは当時ディオールオムのデザイナーであるエディスリマンが。クロップドパンツはトムブラウンが10年以上前に海外コレクションで発表し衝撃を与えたアイテムです。10年以上の時を経て今ではどちらも当たり前のようにユニクロに並んでいるのを踏まえると「クラシック」になったと言いても過言ではないでしょう。

 

ここまで話して、冒頭のアレッサンドロミケーレが提案する今現在、最新のモードに話を戻しましょう。

アレッサンドロミケーレ

photo by https://www.difa.me/wp-content/uploads/2017/03/af07acf39e82bca65db97d5152edf263.jpg

この過剰とまで言える装飾性の高いファッション。何度見ても「オレには理解できん...」という方もいるでしょう。

 

何度も言いますがそれでいいんです。このモードは時間というテストを受けている真っただ中。彼が2015年にグッチのデザイナーに昇進して約2年。時間というテストに耐えつつ、徐々に「装飾性」という形で我々に影響を与え始めているのです。

 

デザイナーでもファッションヴィクティム(ファッション中毒者の意)でもない我々は最新のモードをいち早く取り入れる必要はありません。最新のモードを1年遅れ位。ある程度時間というテストに耐えられたものだけをさりげなく取り入れるだけでいいのです。

 

服の源流だって覚える必要はありません。モードの解釈、取り入れるタイミング、源流の魅力。すべてを網羅しオシャレになることをサポートするのが当サイトSuitLaboです。みんながオシャレになってくれれば販売員の僕ももっとディープな接客が出来て楽しいですし。

 

SuitLaboは「オシャレ」にとどまらず、「似合う」の領域まで論理的に解説するサイトにバージョンアップしました。よりパーソナルな提案をするべく無料メール相談をしています。「言葉じゃオレの悩みをうまく相談できん...」なんていう方は画像を添付していただければアドバイスいたします。

 

ファッションは理論と実践。センスはいりませんが行動は必須。まずは質問からでも構いません。お気軽にメールください。

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